第18回(公社)日本鍼灸師会全国大会in近畿 大会レポート
第18回(公社)日本鍼灸師会全国大会in近畿 大会レポート
「わが街、はり・きゅうのある暮らし~バック・トゥ・ザ・鍼灸~」
秋晴れの中、令和5年10月21日(土)~22日(日)の2日間、大阪府泉佐野市のスターゲイトホテル関西エアポートに全国から321名が集まり、2日間にわたり、第18回(公社)日本鍼灸師会全国大会in近畿が開かれました。
今回は、単独開催ではなく初めて近畿ブロック7師会による共同開催と鍼灸の普及を目的とした市民参加型として縁日を盛り込んだ、新しい試みを取り入れた大会にしました。
大会プログラムでは、公開シンポジウムと公開講座の2講座を市民参加講座とし、その他専門講座を5講座とランチョンセミナーを開催しました。「わが街、はり・きゅうのある暮らし」を大会テーマに掲げ、地域に根差した鍼灸をどう実現していくかという課題に向き合いました。
縁日ではバスケットボールビンゴ、金魚すくいやストラックアウト・型抜き・ルーレットビンゴ等を各師会が担当しました。
また、体験コーナーとして、もぐさ作りやAED講習会、小児はり体験といったものも織り交ぜ、お祭りムードの中での全国大会となりました。
さらに、前回の大阪大会以来、全国大会で学生対抗要穴カルタ大会も開催されました。今回は関東から3校の参加もあり、事実上の日本一決定戦ともなりました。
大きなトラブルもなく盛会裏に終えること事ができましたことを、大会実行委員一同として、この紙面をお借りし、厚く御礼申し上げます。
では、各担当のレポートで大会を振り返りましょう!
●開会式
大会会頭である中村会長の挨拶に続き、開催都市である泉佐野市の千代松市長など多数のご来賓挨拶があり、大会が開幕しました。
千代松泉大津市長祝辞
●公開シンポジウム(和歌山県鍼灸師会担当)
「鍼灸(東洋医学)が根づく街」と題して、南出賢一泉大津市長、米倉まな先生によるシンポジウムを開催しました。
それぞれの地域での健康に対する取組みを基に、鍼灸師がどう地域に根差していくかの提言を頂きました。私たち鍼灸師も、もっと地域のみなさんと企業等と一緒に活動を行うことにより、地域の活性化や健康的な体を作るための第一歩であると感じました。
南出市長(左)、米倉先生(右)
●専門講座Ⅰ(京都府鍼灸師会担当)
「鍼灸師としての災害と復興支援 困難な被害状況を乗り越える鍼灸師の活動と備え」と題して、牧紀男 京都大学防災研究所教授とNPO鍼灸地域支援ネット理事長の日比先生に、それぞれの立場から鍼灸師の災害活動について提言を頂きました。
牧先生から、被災後も求められる人に鍼灸治療を途絶えることなく提供できるようにすることが求められると、演者自身患者としての立場から述べられました。
日比先生からは、突然やってくる災害に対して、個人、施術所、支援者として平時より準備すべきこと、災害時において必要とされる配慮すべきことなどが紹介されました。
牧先生
日比先生
●専門講座Ⅱ(奈良県鍼灸師会担当)
養徳鍼灸院院長の武田先生に、即効性と再現性の高い耳介鎮痛法を実技交えて紹介頂きました。興味深い質疑応答が次々となされるなど、耳介療法に対して関心を持ってもらうことができた講座となりました。
武田先生
●専門講座Ⅲ(兵庫県鍼灸師会担当)
講座内容は、市橋先生による「整形外科医からみた鍼灸・八体質医学の紹介」となりました。講座終了後、講師控え室では関東地区の鍼灸師会と九州地区の鍼灸師会から講師の依頼をされているのを見て、市橋先生の講座をして良かったと感じました。
市橋先生
●専門講座Ⅳ(滋賀県鍼灸師会担当)
小児科医の児玉先生と油谷先生による「医鍼連携と小児はりの可能性」ということで、医師で漢方、鍼灸を治療に取り入れておられる児玉先生に西洋医学からみた小児診療のコツと鍼灸医療とのコラボレーションについて講義いただきました。実技供覧として油谷先生に小児はりの定義について、講義いただいた後、スライドで手技の説明→実技を八手技にわたり行っていただきました。
児玉先生
油谷先生
●専門講座Ⅴ(福井県鍼灸師会担当)
集客・業績向上アドバイザーの加納先生に「令和時代の儲かる経営術&儲かる働き方・自分の評価をあげる方法」と題して、令和時代の経営の術を「マーケティング」「マネジメント」「メンタリング」という3つのポイントを説明して頂きました。
加納先生
●公開講座(大阪府鍼灸師会担当)
アニメ「コウノドリ」の主人公のモデルになった産婦人科医である荻田先生に「奇跡のすぐそばにいること-地域に根差す医療とは-」と題して、本大会のフィナーレを飾って頂きました。地域に根差した医療を通じて、その後の子育てに至るまで医療が出来ることは何かを実践し、その経験と科学的見地から「コウノドリ」で取り上げられた問題点を解決していく方策を示して頂きました。
ご講演の中では、ドラマ「コウノドリ」や「コードブルー」の裏話もあり、市民の方にも喜ばれた講座となりました。
荻田先生
●閉会式
大会旗が次回開催担当の福岡・古賀大会長に引き継がれ、近畿大会が閉幕しました。
閉会式
●縁日・展示コーナー
・バスケットボールビンゴ、ハラノムシ展示(大阪担当)
9つの枠にボールを投げて、縦・横・斜めいずれかのラインに3つ並べばビンゴ!!老若男女問わず楽しめるゲームでした。
・かた抜き(兵庫担当)
全国大会参加者には日頃の鍼さばきを発揮いただき、一般参加者には治療用鍼に触れていただく絶好の機会となったと思います。
・金魚すくい(奈良担当)
金魚すくいの舟やエアーポンプ、お椀などの道具は大和郡山市地域振興課から無料で借りることにより実現できました。
・ルーレットビンゴ(和歌山担当)
利用者の大半が運営スタッフおよび関係者でありましたが、それでもリピーターとして何回も利用していただき、ありがたかったです。わずかに一般の方のご利用やお子様の利用もあり、楽しんでいただいておりました。
・ストラックアウト(滋賀担当)
マジックテープシートとナイロン球12個を用いたストラックアウトを行いました。九つの的をめがけて12球を2分以内で投げていただき、的を得た数、形状、ビンゴ数により景品を渡しました。
・モグサ作り(福井担当)
モグサ作りについては、ヨモギから石臼で作製する事を熟練の鍼灸師でも初めての体験で高評を得た方が多かったです。施灸の温度測定器においても初めての体験者がおられました。一般の方へヨモギから、お灸の艾が作れる工程をわかりやすく公開できました。
●避難生活体験・AED講習会(京都担当)
・京都府鍼灸師会が取り組んだ災害支援事業や活動をスライド上映と避難用テントに入っての生活体験と災害支援に使えるセラミック温灸器を用いた実演を行いました。また、泉州南広域消防本部による災害時を想定したAED・心肺蘇生救急救命講座も開催しました。
●業者展示
今回は、業者展示を別室で設けるのではなく、会場ホワイエにて鍼灸師会ブースと並べて配置し、すべての参加者の目に留まるよう企画しました。もちろん市民の方にもご覧頂けるようにし、普及活動の一端を担って頂くことができました。
●ランチョンセミナー
チュウオー株式会社様の協賛を受けまして、関西医療大学の戸村先生に「鍼灸による未病養生の可能性を考える」と題して「未病養生」をキーワードにし、今後の鍼灸の可能性についてご講演頂きました。ほぼ満席の中、ランチョンセミナーを開催することができ、参加者にとっても有意義な時間であったように思います。
●学生対抗要穴カルタ大会
関東から3校が参加し、全7校で開催しました。大会結果は以下の通りです。
<大会結果>
個人戦 1位 森田秀樹(大阪行岡医療専門学校)
2位 前川陽希(森ノ宮医療学園専門学校)
3位 大貫元気(東京メディカルスポーツ専門学校)
団体戦 1位 京都仏眼鍼灸理療専門学校A
2位 大阪行岡医療専門学校A
3位 京都仏眼鍼灸理療専門学校B
●懇親会
160名参加の中、地元泉佐野市のバトントワリングの演舞や落語もあり、皆さん久しぶりの交流を楽しんでおられました。
次回は、来年10月26日(土)~27日(日)に福岡で開催されます。年に一度の大イベントとして、
ぜひ皆さんで大会を盛り上げましょう!