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危機管理委員会

スポーツ救護・ボランティア活動における 新型コロナウイルス感染防止ガイドライン

スポーツ救護・ボランティア活動における新型コロナウイルス感染防止ガイドライン

(公社)日本鍼灸師会東京オリ・パラ委員会
(公社)日本鍼灸師会危機管理委員会
令和2年 9月14日 発出

スポーツ救護・ボランティア活動における 新型コロナウイルス感染防止ガイドライン はこちら

はじめに

 わが国では新型コロナに対する緊急事態宣言が解除された後、徐々に全国での社会活動が再開されはじめているが、PCR検査陽性者数は第二波と呼べるような増加傾向にあり、このような状況下でスポーツイベント等の救護・ボランティア活動を再開するには多くのリスクが伴うことになる。そこで今後、我々が救護・ボランティア活動を行う際に、新型コロナウイルス感染から受療者や施術者・スタッフを守るために、以下の感染防止ガイドラインを作成した。
 なお、国立感染症研究所等が発出する新型コロナウイルス感染症に関する文書の改訂、全国における感染状況の変化、政府の政策方針の変更等により、このガイドラインは改訂される場合がある。

基本方針

 まず、我々の活動における安全対策の基本方針を、スポーツイベントにおける救護・ボランティア活動に関わる施術者・受療者並びに全ての関係者と共有することが重要になる。当該活動により感染事例が発生した場合には、関係者に少なからず損害を与えてしまうことになり、地域住民や地域医療機関のみならず、我々施術者自身や鍼灸業界へも影響を及ぼしてしまうことを認識しておかなければならない。
 次に、救護・ボランティア活動をする上で新型コロナウイルス感染を実際に防止するためには、まず感染疑いをスクリーニングし、新型コロナウイルス感染が少しでも疑われる場合は、施術を行わないという意識改革を確立することが大切である。しかしながら不顕性感染者も多く存在し、完全に感染事例を排除することは不可能であるため、スクリーニングできなかった感染者からの感染確率を少しでも下げるように防御態勢を整えることが重要である。

活動場所の選定

 安全に活動を行うためには、新型コロナウイルスの感染伝播が起こりやすい
①密集 ②密接 ③密閉の3密要因を避けられる活動場所を選定することが重要である。

活動時における感染症対策の基本原則

①身体的距離、空間の確保、接触時間の短縮
②飛沫防護具の装着(サージカルマスク・フェイスガード等)
③手指消毒の徹底
④検温、体調チェックの徹底(施術者および受療者)

体調チェックのポイント

①感冒様症状・・・発熱・咳・咽頭痛 など
②肺炎症状・・・倦怠感・息苦しさ など
③消化器症状・・・下痢・嘔吐 など
④その他の症状・・・味覚・嗅覚障害 など

活動前【スタッフ】

●スタッフの検温、体調チェック(感冒症状の有無など)を行う。
●スタッフ同居家族の健康状態を申告。
●感冒症状があるスタッフや新型コロナウイルス感染症疑いの同居家族がいる場合は活動に参加しない。
●受付と施術のスタッフは兼任しないことが望ましい

活動前【受療者】

●設営テントや受付に、発熱や咳など感冒症状のある方は施術できない旨を掲示し入場を回避する。

活動時①

●必ず予診(検温、体調チェック)を行い、発熱や咳など感冒症状のある来場者には施術を行わない。

◎スポーツ救護時においては競技終了後、体温が37.5以上に上昇している場合もあるので、施術者や他の受療者と少し距離をおいた場所で、汗の管理等をしながらクールダウンさせ、10〜15分後に再度検温して、施術可能かどうかの判断を行う。
◎解熱剤・総合感冒薬等を服用している場合もあるので留意する。
◎高血圧や糖尿病、心臓病や腎臓病、血管疾患などの既往歴の有無を事前に問診票で確認する。  

※受療者はほぼ全員、行動範囲が把握できていない方なので受け入れには特に注意する。
※イベントでクラスターが発生した場合や受療者が後日発症した場合に備え、濃厚接触者を特定できるように受療者に同意の上、氏名・住所・携帯番号などをカルテ等に正確に記入してもらう。
※厚生労働省発の新型コロナウイルス接触確認アプリをインストールされているかを確認する。

●問診の際は必ず施術者、受療者ともにマスクを着用する。対面で行う場合や、競技後の受療者の状態によって、マスクに加えゴーグルやフェイスガードの使用が望ましい。
●設営テント内で受療者同士が十分な距離(2m以上)を取れるように調節する。ベッドを離して間隔をあけ、できればパーテーションを使用する。
●一人の受療者に接している時間をできるだけ短く(問診から施術終了まで15分以内)する。
●出入口や窓など、外との開口部をつくり、室内の換気が保たれている状態にする。

活動時②

●施術者はサージカル・マスクを必ず着用する。(布マスクは不可。)受療者にもマスクを着用させるのが望ましい。
●両手にグローブを必ず着用し、受療者ごとに交換する。
●手指のアルコール消毒を徹底する。グローブの着用後の消毒も忘れずに行う。
●施術後は、リネン(タオル等)の交換を1人ずつ行う。(不繊式化繊ディスポーザブル敷布でも可)
●ベッドなど受療者の高頻度接触部位にはエタノールまたは次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いた清拭による消毒を行う。

※物品消毒の専門スタッフを用意しておくことを推奨する。
※特に手や顔が触れる場所を中心に消毒する。

●一般ゴミはこまめに回収し、ビニール袋等に密閉して廃棄すること。(市町村指定のゴミ袋がある場合は、それに従う)
●使用済の鍼やアルコール綿花などの廃棄について、医療用廃棄物として取り扱う 。

当日の医療体制の確認

●指定医療機関への連絡体制をあらかじめ確認(救急対応病院の確認、所轄保健所等)しておく。また、コロナ感染者もしくは疑いのある人が出た場合には、管轄保健所と連携を取りながら対応する。
●イベントの主催者や責任者と連携し、活動時に疑い症例に遭遇した場合に備え、対応マニュアルを準備しておく。

後日、疑い例やPCR検査陽性者が出た場合の対応

●イベント主催者や責任者と連携し、濃厚接触者の抽出及びクラスターに対するリスク管理を行う。
●濃厚接触したと判断されるスタッフおよび施術者は、医療機関を受診し、抗原検査やPCR検査を受け、イベント主催者や責任者へ報告する。
●マスコミ対応については、イベント主催者や責任者と都道府県師会が連携して対応し、その後(公社)日本鍼灸師会へ報告する。

※参考リンク

◎スポーツイベント再開に向けた感染拡大予防ガイドライン改訂版(PDF:253KB)
https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/jspo/guideline2.pdf
◎スポーツイベント開催・実施時の感染防止策チェックリスト(PDF:758KB)
https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/jspo/guideline_checklist.pdf

暑熱環境下における熱中症疑い患者への対応について

熱中症疑い患者はCOVID-19患者として対応

 呼吸器症状や嗅覚障害・味覚障害を認める場合はCOVID-19を疑う根拠になるが、臨床症状のみから熱中症とCOVID-19を鑑別することは困難である為、我々が現場で行う熱中症疑い患者への対応は、感染対策を徹底するとともに、患者の命の危険性を伴うため迅速に行動できるように備えておく。

蒸散冷却法は周りに人がいない屋外のみ、基本的には局所冷却法で対応

 熱中症の重症患者は尿・便失禁などで汚染されている場合があり、COVID-19が疑われる時には、体表面にウイルスが存在していると想定するべきである。
 蒸散冷却法は、スプレーや霧吹きで、全身の体表面を微温湯で湿らせたうえで、扇風機や団扇でその水分を蒸発させることにより、体表から気化熱を奪って体外から冷却する方法であるが、蒸散冷却法を行うと、水分が蒸発して発生したエアロゾルが気流に乗って、広い範囲に拡散する危険性も否定できない。
 そのため、屋外やエアロゾルの危険を回避できるような場所を除き、蒸散冷却法は避け、局所冷却法で対処することが望ましい。

※参考リンク

日本救急医学会、日本臨床救急医学会、日本感染症学会、日本呼吸器学会から合同で発出された「新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き」を参照。
http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/news/gakkai/covid19_tebiki_2007.pdf

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