ご挨拶
Greeting
ご挨拶
公益社団法人 日本鍼灸師会
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副会長 小林 潤一郎 |
副会長 児山 俊浩 |
副会長 安田 政寛 |
激変した環境に適応するための発想と行動へ
3年半に及ぶ新型コロナウイルスとの闘いで、患者の皆さんも鍼灸師も経験したことのない多くの犠牲を払い、ポストコロナの新しい時代に向けて希望の光を見いだしながら、耐え抜いてきた昨今です。
こうした大きな時代の変化の中で、日本鍼灸師会の会長という極めて重要な職責を担わせていただくことになり、改めて責任の重さを実感しております。
今後の日本社会ではり師・きゅう師の役割は今まで以上に嘱望されるものと思われます。そのためには日本鍼灸師会のこれまでの目標とともに、鍼灸の普及によって国民に鍼灸師が広く認知されるよう活動し、鍼灸師が働き甲斐ある社会づくりをすることに組織活動の重点を置くことが必要であろうと思います。
超高齢化社会と労働力の不足が深刻化する2040問題では、社会保障制度の崩壊危機が予想され、給付と負担の見直しも予測されています。私たち鍼灸師が社会の中で果たすべき役割として、若人の健康維持増進と高齢者の健康寿命延伸があります。
その役割を全うするためには、医療従事者の方々に、会員はもとより全ての鍼灸師について、理解と協力得ることと、国をはじめとする関係機関と私たちの組織が連携することが不可欠です。
そこで今期はこれまで以上に対外活動に重きを置き、鍼灸学術専門団体や鍼灸の教育機関との結びつきをより強固にし、知見に基づいた鍼灸施術が国民に周知され、鍼灸施術の受療率が増えていくように積極的に活動を進めていきたいと考えています。
その具体的な活動に関連することとして、令和6年度の社会保障費改定があり、医療、介護、障害のトリプル改定が行われます。次回の改定は前述しました2040年問題を見据えた改定でもあり、社会保障制度は大きく影響を受けます。
現在の日本の社会保障制度は、高齢化社会への対応を目指して構築されていますが、2040年問題を鑑みると、現行の医療保険制度の中で高齢者の医療費は大きく増加すると予想され、また、社会保障の持続的運用を鑑みると、医療制度の改革や財源の見直しが図られると思いますそして医療や介護の包括的対策で経費の削減を求められ、私たちが取り扱うあはき療養費も大きく影響を受けると思われます。社会保障制度の持続可能性を確保するためには財源の確保が欠かせませんが、同時に支出の見直しや効率的な予算配分など、財政の健全化を図ることとなります。
私たち鍼灸師は低コストで利用者満足度を高めるサービスを提供できますが、財政の健全化という目線で考えると、サービスに見合った効果を上げることができなければ、あはき療養費制度の継続は危ぶまれます。ただ漫然と施術をおこなうことなく、「治す」あはき施術が求められます。日本鍼灸師会は、社会に求められる鍼灸師育成を通して鍼灸師を守らなければなりません。全国各鍼灸師会と連携し、日本鍼灸師会の会員数増により、役員の保険者へのアプローチや利用者への周知活動を行う活動費が増やせます。
この度の役員改選で、理事会は前例のない新人理事が多数の構成となりました。目まぐるしく変化する日本で、時代の変化に上手く対応すべく既存事業の見直しを行い、短期的中長期的目的について理事一人一人から声を聴きながら想像し、目的達成に向けた合理性をもった組織づくりを考えています。また、全国の代議員の皆さんから承認された再任理事の経験に加え、新任理事が持つ感性にも大いに期待したいと思い、各委員会を担って行って頂く事と致しました。
今後ますます変化する社会に求められる鍼灸師像を想像するだけでなく、現実化させていきます。これから2年間、各理事は自身の思いを書いた立候補所信表明の内容を基に事業に取り組まれることと思います。意思決定の場の理事会では、、横断的に多くの意見を出し合って議論する場として、決定した事項に対してはこれを成し遂げるよう同じ方向を向かなければ進展はありません。役員全員が一丸となり会務を進めて参ります。
日本鍼灸会はこれからも全国の48鍼灸師会と協力し、誰からも信頼を寄せていただける組織となるよう努めるとともに、医療を取り巻く環境が大きく変化してゆく中でも中心軸が揺らぐことがないように、国民の健康維持の増進を優先目標に据えて活動していきたいと考えています。
皆様のご意見に耳を傾けつつ時代に適応した活動を進めたいと思いますので、ご支援ご協力をいただきますようお願い申し上げます。
公益社団法人 日本鍼灸師会
会長 中村 聡